イスラエル国防相がロシアから攻撃を受けたことを認める

ベニー・ガンツ国防相

イスラエルのベニー・ガンツ国防相は、7月26日に行われたスピーチで、2か月前に行ったシリア空爆の際、イスラエル空軍機がシリア駐留のロシア軍から対空ミサイルの攻撃を受けていたことを認めた。これはシリア駐留のロシア軍がイスラエル軍に発砲したことが確認された初めての事例となる。

ガンツ国防相は、ロシア軍の攻撃はあったものの、ミサイルが発射されたのはイスラエル軍機が作戦を終了して帰投する際で、具体的な被害はなかったとして次のように語っている。

これは一回限りの出来事で、わが軍の航空機は付近にいませんでした。状況は安定していますが、この件は始まったばかりだという視点で見ています。
― Aryeh Savir, “Russian Troops Fired on Israeli Planes in Syria, Defense Minister Confirms,” Israel Today, 29 Jul 2022

This is a one-time event, our planes were not around at all. The situation is stable, but we are looking at this story as if we have just started.

シリアでは、イランやヒズボラ(イスラム過激派組織)といったイスラエルに敵対する勢力が活動しており、イスラエル軍はそうした勢力の拠点に対する空爆を行ってきた。これまでロシアは、そうしたイスラエルの空爆を黙認してきたが、最近になって態度が変化している。この変化は、ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、イスラエルの一部閣僚がロシアを非難する声明を出してきたことが背景にある。

イスラエルのヤイル・ラピード外相(当時。現首相)は、キエフ郊外のブチャの惨状を目にしてこう発言している。

民間人に意図的に危害を加えることは戦争犯罪であり、これを強く非難する。

Intentionally harming a civilian population is a war crime and I strongly condemn it.

また、保健相のニッツァン・ホロウィッツは、ウクライナのリビウ郊外に設置されたイスラエルの野戦病院を訪問し、次のように語っている。

(今回の訪問は)ロシアの残忍な侵略に直面し、ウクライナ全土でここ最近に明らかになってきた虐殺や戦争犯罪にさらされているウクライナとの連帯を示すものです。

(This visit is a sign of) solidarity with Ukraine in the face of a brutal Russian invasion and in the face of the massacres and war crimes that are being uncovered these days across the country.

こうした発言は、ロシアの行動を見れば当然のものだが、ロシアからの強い反発を招いている。イスラエルとロシアの間では、これまで以上に緊張が高まっているように見える。

参考資料

写真:U.S. Secretary of Defense (CC BY 2.0)

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イスラエルがトルコと国交正常化、シリアでもイラン勢力が後退か - 聖書ニュース.com

[…] イランは、シリア領土内に拠点を築いてレバノンのヒズボラやガザ地区のハマスに武器を供与し、イスラエルに対するテロ戦争を支援している。そのため、イスラエルはたびたびシリア国内のイラン拠点に爆撃を行い、イランの敵対活動を妨げていた。ただ、シリアにはロシア軍が展開しており、このロシア軍とイスラエルの軍事衝突が起きる可能性が危ぶまれていた(記事「イスラエル国防相がロシアから攻撃を受けたことを認める」参照)。 […]

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