聖書の黙示録13:16~18によると、反キリストが支配する世界統一政府では、反キリストの刻印がなければ売ることも買うこともできない完全監視社会が到来することが預言されています。
16 また獣(反キリスト)は、すべての者に、すなわち、小さい者にも大きい者にも、富んでいる者にも貧しい者にも、自由人にも奴隷にも、その右の手あるいは額に刻印を受けさせた。 17 また、その刻印を持っている者以外は、だれも物を売り買いできないようにした。刻印とは、あの獣の名、またはその名が表す数字である。 18 ここに、知恵が必要である。思慮ある者はその獣の数字を数えなさい。それは人間を表す数字であるから。その数字は六百六十六である。
この預言について、以下に解説します。
> 時代時代
大患難時代に入ると、神は神のしもべ(14万4千のユダヤ人)の額に聖霊のしるしを押します(黙示録7:3)。大患難時代の中間期になると、このしるしをまねて、反キリストは「獣のしるし」と呼ばれる刻印を人々に押すことになります。
> 獣のしるし(刻印)とは獣のしるし(刻印)とは
獣のしるしは、反キリストを神として受け入れている証しとなります。このしるしが、反キリストを神として受け入れる人と、そうでない人を選り分ける踏み絵になります。
獣のしるしは、商取引をするためのパスポートにもなります。このパスポートがないと、売ることも買うこともできなくなり、この社会で生きていくのがほぼ不可能になるのです。このようなことが可能になるには、以下のような条件が必要です。
(1)世界統一経済
反キリストの政府は世界統一政府です。世界全体の商取引を規制して「獣のしるし」を持っていない人が売り買いできないようにするには、世界の経済が一つに統合され、同じシステムで動くようになっている必要があります。
(2)完全監視社会
獣のしるしを受けていない人が売り買いできないようにするには、商取引を監視する体制が確立している必要があります。商売をする人の行動を制限するには、政府の規制と監視が必要です。このような規制を全世界で徹底するには、完全な監視体制が確立している必要があります。
そのほかに、次のような条件も追加することもできます。
(3)キャッシュレス社会
現金には匿名性があります。つまり、現金はだれが手にしても使うことができます。このお金をいつ、だれが、どこで使ったかは現金だけを見てもわかりません。しかし、クレジットカードなどのキャッシュレス決済だと、すべて決済会社を通すので、いつ、どこで、何を買ったかを当局が知ることができます。そのため、獣のしるしを受けていない人が商取引をしていないかどうかを完全に把握するには、キャッシュレス社会が浸透して、現金での取引が行われなくなっていることも条件になると考えられます。
> 獣のしるし「666」の意味獣のしるし「666」の意味
獣のしるしは、「獣の名、またはその名が表す数字」と言われており、その数字とは「666」です。この数字は何を意味するかは諸説ありますが、ギリシャ語またはヘブライ語のアルファベットは数字に換算できることから、獣(反キリスト)の名前を数字に換算したものが「666」であると考えられています。
ギリシャ語とヘブライ語のどちらで数字に変換するかは、説が分かれています。ヨハネが黙示録を書いたのはギリシャ語ですので、ギリシャ語説を採用する人が多いかもしれません。しかし、大患難時代には教会が携挙されており、ユダヤ人が聖書の記述の中心になり、宣教師としての役割を担っていいます。そのため、ユダヤ人が気付くことができるように、ヘブライ語を数値に変換する説の方が信憑性があると考えます。
ヘブライ語の場合、各アルファベットは以下の数字に換算されます。
名称 | 数値 | |
---|---|---|
א | アレフ | 1 |
ב | ベート、ヴェート | 2 |
ג | ギメル | 3 |
ד | ダレット | 4 |
ה | ヘー | 5 |
ו | ヴァヴ | 6 |
ז | ザイン | 7 |
ח | ヘット | 8 |
ט | テット | 9 |
י | ユッド(ヨッド) | 10 |
כ | カフ、ハフ | 20 |
ל | ラメッド | 30 |
מ | メム | 40 |
נ | ヌン | 50 |
ס | サメフ | 60 |
ע | アイン | 70 |
פ | ペー、フェー | 80 |
צ | ツァディ(ツァディク) | 90 |
ק | クフ(コフ) | 100 |
ר | レーシュ | 200 |
ש | シン、スィン | 300 |
ת | タヴ | 400 |
たとえば、筆者の名前「佐野剛史」をヘブライ語にすると「סנו טקאשי」となります。これを上の表に従って数値化すると、以下のようになります。
アルファベット | 数値 |
---|---|
ס | 60 |
נ | 50 |
ו | 6 |
ט | 9 |
ק | 100 |
א | 1 |
ש | 300 |
י | 10 |
これをすべて足し合わせると、「536」となります。このように名前を数値化して「666」になる人が反キリストということになります。
ただし、数値化して「666」になる名前は数多くありますので、これだけで反キリストを割り出すことは不可能です。ただし、反キリストが実際に世界政治の舞台に登場した暁には、この数字で反キリストかどうかを確かめることができます。
> 参考資料参考資料
- Arnold G. Fruchtenbaum, The Footsteps of Messiah: Revised 2020 Edition (Ariel Ministries, 2020)
- Andy Woods, “Revelation 042 – Coming Surveillance Society,” Sugar Land Bible Church (https://slbc.org/sermon/revelation-042-coming-surveillance-society/)
- 中川健一「ヨハネの黙示録(24)—地からの獣—」(https://message-station.net/episode/1311/)
[…] このような現状は、聖書の黙示録が預言する状況と似てきている。聖書では、黙示録の時代には「その刻印(反キリストの刻印)を持っている者以外は、だれも物を売り買いできない」(黙示録13:17)ようになると預言されている(記事「終末預言を読み解く:完全監視社会」参照)。 […]
[…] MEMO 反キリストの国では、完全監視社会になることが預言されています。この点については記事「終末預言を読み解く:完全監視社会」を参照してください。 […]