エルサレムに米大使館を移転したトランプ政権と逆の動きに出るバイデン政権

エルサレム

米バイデン政権がパレスチナ自治区の外交上の地位を格上げし、エルサレムにパレスチナ問題調整事務所(Office of Palestinian Affairs)を設立する方向で動いていることを米国の『Washington Free Beacon』紙が報じている。これは、テルアビブからエルサレムに米国大使館を移転させることで、エルサレムをイスラエルの首都と認めたトランプ政権とは逆の動きである。同紙は次のように報じている。

バイデン政権はパレスチナ政府との外交関係を強化しており、エルサレムをイスラエルの首都とする米国の歴史的な承認を撤回する第一歩であると外交官は警告している。
国務省が『Washington Free Beacon』紙に確認したところによると、エルサレムにパレスチナ問題調整事務所を新設し、駐イスラエル米国大使の事務所から独立して活動する予定であることがわかった。独立した外交事務所の設立は、米国とパレスチナ自治政府との関係を強化するものであり、エルサレムに設置できる米国大使館は一つのみと規定した1995年の「エルサレム大使館法」に違反する可能性がある。
また、国務省は、さらに踏み込んで、イスラエルの米国大使館から完全に独立したパレスチナ領事館をエルサレムに開設するよう働きかけていることも認めている。
ー Adam Kredo, “Biden Admin Takes Major Step To Roll Back Trump’s Jerusalem Embassy Move,” Washington Free Beacon, June 10 2022

The Biden administration elevated diplomatic relations with the Palestinian government, in what diplomats warn is the first step to walking back the United States’ historic recognition of Jerusalem as Israel’s capital.
The State Department confirmed to the Washington Free Beacon that a new Office of Palestinian Affairs will be established in Jerusalem and act independently of the U.S. ambassador to Israel’s office there. The formation of a separate diplomatic office bolsters U.S. relations with the Palestinian government and could violate the Jerusalem Embassy Act of 1995, which mandated that a single U.S. embassy be established in the holy city.
The State Department also confirmed that it is working to go even further—opening an official Palestinian consulate in Jerusalem wholly independent of the U.S. embassy in Israel.

トランプ政権は、イスラエルの米国大使館をエルサレムに置くことで、イスラエルがエルサレムに対する主権を持っていることを認めた。それに反し、バイデン政権はエルサレムにパレスチナ領事館を置くことで、イスラエルのエルサレム全体に対する主権を否定し、エルサレムはイスラエルとパレスチナが分割統治する町であると認めたことになる。これはバイデン政権の親パレスチナ、反イスラエル政策の一つで、米国とイスラエルの溝を深める可能性がある。

ちなみに、「エルサレムはイスラエルの統一された首都である」というのは、実はトランプ以前の大統領も言っていたことである。ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラック・オバマの各大統領は、大統領選挙中にはエルサレムがイスラエルの統一された首都であり、それを約束すると語っていた。トランプ大統領が違ったのは、約束を有言実行したことである。

MEMO
旧約聖書の1列王記11:32には、「わたしがイスラエルの全部族の中から選んだ都、エルサレム」と記されている。エルサレムの帰属問題は、聖書的には決着している。

参考資料

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