時のしるしを見分ける:世界統一宗教(2)宗教間一致運動

世界情勢と預言

聖書では、世の終わりには「世界統一宗教」が現れることを預言しています。世の中にはこれだけ多くの宗教があふれているのに、それが一つになるというのはおとぎ話のように聞こえます。ただ、近年の世界情勢を見ていると、この預言の成就に向けて、舞台が整いつつあるように思います。

前回は、ローマカトリック教会を中心にエキュメニカル(教会一致)運動が進み、教会間の垣根が取り去られつつあることを示しました。今回は、現在は教会一致だけでなく、宗教間一致が進んでいる時代であることも示します。この宗教間一致運動も、ローマカトリック教会のフランシスコ法王が中心になって推進しています。

宗教間一致運動

フランシスコ法王が一致を呼びかけるのは教会だけではありません。以下に示すように、一致の呼びかけはすべての宗教に向けられています。

イスラム教とユダヤ教との一致

フランシスコ法王が中心になって実現した宗教間一致で最もよく知られているのは、フランシスコ法王とイスラム教のグランド・イマーム(スンニ派イスラム法学者の最高権威)が共同署名した「世界平和と共生のための人類の兄弟愛に関する文書」(人類の友愛に関する文書)です。

人類の友愛に関する文書のホームページでは、この文書を次のように紹介しています。

2019年2月4日、フランシスコ法王とアル・アズハルのグランドイマーム、アフメド・アル・タイーブは、アラブ首長国連邦のアブダビで会談し、「人間友愛に関する文書」に署名することで、世界の注目を集めました。この文書は、世界のすべての人々に平和を呼びかける共同宣言です。2人の偉大な宗教家の間に育まれた友愛から生まれたこの文書は、宗教間の対話と協力の文化を構築するための青写真を提供しています。この宣言は、私たちはみな人類という一つの家族の一員であるという認識のもとで、互いを尊重する文化を推し進める次世代への指針となることを目指しています。
― “DOCUMENT ON HUMAN FRATERNITY

On February 4, 2019, Pope Francis and the Grand Imam of Al-Azhar Ahmed Al-Tayeb captured the attention of the world when they met in Abu Dhabi, United Arab Emirates to sign the Document on Human Fraternity – a joint declaration urging peace among all people in the world. Born out of the fraternal friendship between the two great religious figures, the Document provides a blueprint for a culture of dialogue and collaboration between faiths. The declaration intends to serve as a guide for future generations to advance a culture of mutual respect, in recognition that we are all members of one human family.

この紹介文を読むと、署名したのはキリスト教とイスラム教の指導者ですが、あらゆる宗教間の対話と一致を呼びかける文書であることがわかります。

MEMO
人類の友愛に関する文書について、詳しくは「アブダビ宣言と世界統一宗教への道」をご覧ください。

実際に、この署名文書に基づいて建設されたアブラハム・ファミリー・ハウスには、キリスト教とイスラム教のほかに、ユダヤ教の礼拝施設が設けられています。この施設は、アブラハムを信仰の父と仰ぐ3つの世界宗教の合同礼拝所であり、それ以外の宗教を信じる人々にも開かれています。

MEMO
アブラハム・ファミリー・ハウスについて、詳しくは「キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の礼拝施設が並び立つ『アブラハム・ファミリー・ハウス』が2022年中に完成」をご覧ください。

諸宗教との一致

フランシスコ法王が、あらゆる宗教との一致を求めていることは、以下の動画を見るとわかります。バチカンが公開しているこの動画では、さまざまな宗教を信じる人々が登場します。

日本語訳

地球上のほとんどの人が、自分は信者であると言っています。このことは宗教間の対話につながるはずです。私たちはそのために祈り、異なる考えを持つ人たちと協力することをやめてはなりません。
ラマ教の僧侶: 私は仏陀を信じています。
ユダヤ教のラビ:私は神を信じています。
カトリックの司祭:私はイエス・キリストを信じています。
イスラム教の指導者:私は神、アッラーを信じています。
多くの人が、異なる考え方、異なる感じ方、異なる方法で神を求め、神に出会っています。このたくさんの人々の中で、このようにさまざまな宗教がある中で、ただひとつ、確かなことがあります。それは私たちがみな神の子であるということです
ラマ教の僧侶:私は愛を信じます。
ユダヤ教のラビ: 私は愛を信じます。
カトリックの司祭:私は愛を信じます。
イスラム教の指導者:私は愛を信じます。
フランシスコ法王:今月の私の祈りのお願いを広めていただけると幸いです。異なる信仰を持つ人々の間で誠実な対話が行われ、平和と正義の実を結ぶように。私は皆さんの祈りを信じています。
ー The Vatican (Archive), “Pope Francis’ prayer intentions for January 2016

Most of the planet’s inhabitants declare themselves believers. This should lead to dialogue among religions. We should not stop praying for it and collaborating with those who think differently.
Lama: I have confidence in the Buddha.
Rabbi: I believe in God.
Catholic Priest: I believe in Jesus Christ.
Islamic Leader: I believe in God, Allah.
Many think differently, feel differently, seeking God or meeting God in different ways. In this crowd, in this range of religions, there is only one certainty that we have for all: we are all children of God.
Lama: I believe in love.
Rabbi: I believe in love.
Catholic Priest: I believe in love.
Islamic Leader: I believe in love.
I hope you will spread my prayer request this month: “That sincere dialogue among men and women of different faiths may produce the fruits of peace and justice.”
I have confidence in your prayers.

これを聞くと、宗教の違いを越えて平和を求めるすばらしいメッセージのように思います。ただ、一つ問題は、聖書的でないということです。フランシスコ法王は明らかに、キリストを信じなくても、すべての人がそれぞれの宗教によって救われ、神の子どもとされていると考えています。しかし、この教えは聖書の教えと真っ向から矛盾します。新約聖書のヨハネ1:12ではこう言われています。

しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとなる特権をお与えになった。 

この聖句で言われているように、神の子どもとなるには「この方(キリスト)」を受け入れ、信じる必要があります。フランシスコ法王が教えていることは、明らかに聖書と矛盾しています。

さまざまな宗教を信じる人の間で争いがないことは良いことですが、そのために神のみことばを否定することは、神を否定することにつながります。

また、フランシスコ法王が一致を求める対象は他宗教にとどまりません。

無神論者との一致

フランシスコ法王は、信仰のある人だけでなく、無神論者であっても救われると教えています。法王は、バチカン放送で次のように語っています。

 主は、私たち全員を、キリストの血で贖ってくださいました。カトリック教徒だけでなく、すべての人をです。
 「法王様、無神論者はどうなるのでしょうか?」
 無神論者であってもです。すべての人です! そして、キリストの血は、私たちをファーストクラスの神の子としてくださるのです。私たちは神の似姿として創造された子どもであり、キリストの血は私たち全員を贖ってくださいました。そして、私たちは皆、善を行う義務があるのです。すべての人が善を行うというこの戒めは、平和につながる美しい道だと思うのです。もし私たちが各自の役割を果たし、他の人に善を行い、善を行っている人たちとそこで出会い、ゆっくりと、優しく、少しずつ進んでいけば、めぐり逢いの文化を築くことができます。これを私たちはとても必要としています。私たちは、互いに善を行いながら出会わなければならないのです。
 「でも、私は信じていません。法王様、私は無神論者なのです」
 それでも善を行いなさい。私たちはそこで出会うことができるのです。[バチカン放送局ホームページより]
― Ron Conte, “Pope Francis on Salvation outside the Church,” the reproach of Christ, 22 April 2015

“The Lord has redeemed all of us, all of us, with the Blood of Christ: all of us, not just Catholics. Everyone! ‘Father, the atheists?’ Even the atheists. Everyone! And this Blood makes us children of God of the first class! We are created children in the likeness of God and the Blood of Christ has redeemed us all! And we all have a duty to do good. And this commandment for everyone to do good, I think, is a beautiful path towards peace. If we, each doing our own part, if we do good to others, if we meet there, doing good, and we go slowly, gently, little by little, we will make that culture of encounter: we need that so much. We must meet one another doing good. ‘But I don’t believe, Father, I am an atheist!’ But do good: we will meet one another there.” [Vatican radio website]

フランシスコ法王の教えは「ユニバーサリズム(普遍主義)」です。これは「普遍的救い」を教えるもので、クリスチャンでなくても、信仰のあるなしに関わらず、すべての人が救われているというものです。聞こえはいいのですが、聖書的に間違った教えです。

MEMO
普遍主義については、中川健一「Q.31 すべての人は救われると聞いたことがありますが、本当ですか?」(3分でわかる聖書)を参照してください。

キリストを信じなくても、無神論者でも善を行えばいいというこの教えは、プロテスタント教会で教えられる「信仰義認」とは正反対の教えです。ローマカトリック教会は、ルーテル教会と対話する時は信仰義認に立つと言い(記事「時のしるし:世界統一宗教(1)教会一致運動」参照)、無神論者と対話する時は行いが良ければよしと言います。これは一致のために真理を犠牲にする方法です。このことを見るとき、2テモテ4:2~4でパウロが語った次のことばを思い出します。

2  みことばを宣べ伝えなさい。時が良くても悪くてもしっかりやりなさい。忍耐の限りを尽くし、絶えず教えながら、責め、戒め、また勧めなさい。 3  というのは、人々が健全な教えに耐えられなくなり、耳に心地よい話を聞こうと、自分の好みにしたがって自分たちのために教師を寄せ集め、 4  真理から耳を背け、作り話にそれて行くような時代になるからです。

しかし、イエス・キリストは、ヨハネ14:6で次のように語っておられます。

イエスは彼に言われた。「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれも父のみもとに行くことはできません」

イエスは、ご自分が真理であること、ご自分を通してでなければ救いはないことを明言しています。

MEMO
救いと救いの方法については、クリスチャンコモンズWebサイトの「福音とは」の各記事をご覧ください。

現在は、ローマカトリック教会だけでなく、プロテスタントを含め、多くの教会や宗教が普遍主義を教えています。この点も、世界統一宗教の時代に入りつつあることの前兆であるように思います。どの道でも救われるのであれば、宗教的な教えは二次的なものになり、あらゆる宗教が一致する共通の土台が整うためです。

宗教統一の結集軸

先ほど紹介した動画では「愛」が強調されていました。今は「愛」の時代です。どの宗教も無宗教も「愛」を説きます。

また、今はヒューマニズムの時代です。イスラエルの『エルサレムポスト』紙では、先ほど紹介したアブラハム・ファミリー・ハウスを次のように紹介しています。

アブラハム・ファミリー・ハウスの理念は、アブラハム宗教(イスラム教、ユダヤ教、キリスト教)にとどまらず、宗教の共通理解によって寛容な社会が実現可能だというメッセージを伝えている。宗教を利用してヘイトや分断、ひいてはテロリズムを広める人々に、宗教は平和と安定を広める手段となりうることを証明する強力なプラットフォームとなる。モスク、シナゴーグ、教会が1つの場所にあることは、「あなた」ではなく「私たち」という認識を前面に出したもので、ヒューマニティや共存する権利という考え方を反映している。
― Mohamed Aldhuhoori, “The UAE’s Abrahamic Family House is a shift in modern history – opinion,” Jerusalem Post, 16 Feb 2023

The idea behind the Abrahamic Family House is not confined to the Abrahamic religions (i.e., Islam, Judaism, and Christianity); it extends beyond them, delivering the message that tolerance can be achieved with a common religious understanding. It is a powerful platform to prove to those who utilize religion to spread hate, separation, and eventually terrorism, that religions can be a means of spreading peace and stability. Having a mosque, a synagogue, and a church in one place signals the notion of “us,” not “you,” reflecting the idea of humanity and the right to coexist.

ヒューマニズムは人類を一つにします。ただ、人間中心主義ですので、神を排除した世界観でもあります。この文章でもわかるように、あくまでも「私たち」が中心なので、それぞれの聖典が何を語っているかは等閑視されています(たとえば、ユダヤ教はイエスが救い主であることを否定している)。

また、近年では気候変動問題が、さまざまな宗教を結びつける一つの結集軸となりつつあります。たとえば、2021年に開催された気候変動に関する国連会議「COP26」の前に、世界の主要な宗教的指導者が集まって共同宣言を出しています。

 気候変動の「深刻な脅威」を受け、世界の主要な宗教のトップがバチカンに集結し、共同声明を発表した。これは来月開催される国連気候変動サミットに出席する政府指導者に対し、温室効果ガスの排出を大幅に抑制する「緊急かつ根本的で責任ある行動」と、世界の富裕国が地球のいやしを主導するように求める前例のない宣言である。
 フランシスコ法王、ギリシャ正教のバルトロメオ総主教、イスラム教、ユダヤ教、仏教、ヒンドゥー教の指導者など約40名の宗教家が、それぞれの会衆に気候変動の危機に対する意識と行動を呼びかけることを誓っている。
 「今は絶好の機会であり、正念場を迎えている。私たちは、手遅れになる前に、人類が団結してわれわれ共通のふるさとを救うことができるよう祈る」と宣言している。
― “Pope Francis joins world faith leaders in urgent climate appeal ahead of COP26,” Earthbeat, 4 Oct 2021 (https://www.ncronline.org/earthbeat/justice/pope-francis-joins-world-faith-leaders-urgent-climate-appeal-ahead-cop26)

In response to the “grave threat” of climate change, heads of the world’s major religions united at the Vatican to issue an unprecedented joint appeal to government leaders at next month’s United Nations climate summit, calling for “urgent, radical and responsible action” to drastically curb greenhouse gas emissions and for the world’s wealthiest countries to lead in healing the planet.
The nearly 40 religious figures, among them Pope Francis, Ecumenical Patriarch Bartholomew and Islamic, Jewish, Buddhist and Hindu leaders, also pledged to increase awareness of the climate crisis and actions to address it within their own congregations.
“We are currently at a moment of opportunity and truth. We pray that our human family may unite to save our common home before it is too late,” the declaration read.

諸宗教が愛、ヒューマニズム、気候変動などを軸にして、一つの方向に向かっていることを見ると、聖書の終末預言が成就する舞台が整いつつあることを思わずにはいられません。

MEMO
気候変動と宗教の関係については、記事「気候変動と世界統一宗教」を参照してください。

宗教間一致運動の先にあるもの

宗教間一致運動の先にあるものは、世界統一宗教です。黙示録の17章1節では、次のように言われています。

1 七つの鉢を持つ七人の御使いの一人が来て、私に語りかけた。「ここに来なさい。大水の上に座している大淫婦に対するさばきを見せましょう。

ここで「大水」と言われているのは、世界の諸民族です。「大淫婦」は偽りの宗教を象徴しています。つまり、黙示録が預言する大患難時代には、世界を支配する偽りの宗教が存在していると聖書は預言しているとわかります。

MEMO
世界統一宗教の預言について、詳しくは「終末預言を読み解く:世界統一宗教」を参照してください。

まとめ

今は、聖書に預言されている世界統一宗教が現れる準備が整いつつある時代です。つまり、人類が苦難にあうことが預言されている大患難時代が近付いている時代です。

真理よりも一致を優先させた宗教間一致運動の行き着く先は、聖書が預言する世界統一宗教であり、「大淫婦」と呼ばれる偽の宗教システムです。

参考資料

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