新型コロナウィルスによるパンデミック以降、世界が急速に変化しつつあるように感じます。同様の感覚を持っておられる方は多いのではないでしょうか。
ただ、コロナ禍以降の変化に気付いている人は多くても、なぜそうなっているのか、これからどうなっていくのかまで見通しが付いている人は少ないように思います。
このような混乱の時代に最も頼りになるのが「聖書」です。聖書には、将来に起こることの預言が記されているためです。この点については後ほど詳しく述べます。
> 今、この世界で起こっていること今、この世界で起こっていること
今、世界では大きな変化が起きています。いくつか思い浮かぶ問題を挙げるだけでも、次のようなリストになります。
- 新型コロナワクチンの安全性に関する議論
- グローバル全体主義の台頭
- ロシア・ウクライナ戦争
- マスコミの情報操作
- ソーシャルメディアの情報統制
- LGBTQ問題
- 気候変動問題
- 人口削減問題
- デジタルID問題
- 中東情勢の悪化(イスラエル・ハマス紛争)
- イスラム教、中東諸国の台頭
- トランスヒューマニズムの問題
- サタニズム(悪魔崇拝)の広がり
こうした話題は、マスコミがほとんど取り上げないか、一方的な公式見解に留まることが多いのが現状です。英語では詳しく取り上げるメディアもありますが、日本語では情報が少ないというのが実情です。また、日本語で情報があっても、聖書的な視点で語られることはまれです。そのため、上記のようなテーマを聖書的な枠組みで考えるというのが本シリーズの趣旨です。
> 「空気」の問題「空気」の問題
上記のような問題について、政府やマスコミの公式見解から外れた意見を語ると、往々にして「陰謀論」というレッテルを貼られます。そのため、知らない人とだけではなく、職場の同僚や学校の友達とも話題にしづらいテーマになっています。日本ではよく「空気を読め」と言いますが、社会の「空気」に逆らうことはタブーのように感じることがあります。
しかし、上記の中には、健康や生命に関わる問題や、国の将来に関係する問題も含まれています。人の目を気にして真実を追求しないのであれば、後々後悔することになる可能性があります。さまざまな議論が起こるかもしれませんが、議論をすること自体は良いことです。議論が深まることで、真実に迫ることができるためです。聖書の箴言には次のようなことばがあります(箴言18:17)。
17 最初に訴える者は、相手が来て彼を調べるまでは、正しく見える。
もっともらしく聞こえる説明も、調べてみると真実とかけ離れているというのはよくあることです。そのため、まずは問題を調べることが大切です。
> ボンヘッファーの言葉ボンヘッファーの言葉
今の世界情勢を見ていると、日本を含め、各国の政府が国民が望む方向とは逆の方向にまっしぐらに突き進んでいるように思えます。このような混乱の時代には、ドイツのルター派牧師で、ナチスドイツに抵抗したディートリッヒ・ボンヘッファーの次のような言葉が現実味を持って迫ってきます。
車を運転している狂人が罪のない通行人の集団に突っ込んでいこうとしていて、その隣に座っていたとしたら、クリスチャンとして、ただ大惨事が起こるのを手をこまねいて見ていて、その後に負傷者を慰め、死者を埋葬するというようなことはできない。私は運転手の手からハンドルを奪い取ろうとしなければならない。
― J. B. Hixson, Spirit of the Antichrist Volume One: The Gathering Cloud of Deception (Not By Works, 2023)
“If I sit next to a madman as he drives a car into a group of innocent bystanders, I can’t, as a Christian, simply wait for the catastrophe, then comfort the wounded and bury the dead. I must try to wrestle the steering wheel out of the hands of the driver.”
また、ボンヘッファーは次のようにも語っています。
悪を前にして沈黙すること自体が悪である。神は私たちを罪なき者とはされない。語らないこと自体がすでに語っていることだ。行動しないこと自体が行動である。
― J. B. Hixson, Spirit of the Antichrist Volume One: The Gathering Cloud of Deception (Not By Works, 2023)
“Silence in the face of evil is itself evil. God will not hold us guiltless. Not to speak is to speak. Not to act is to act.”
ただ、事実を十分に知らなければ、正しい判断をすることはできません。また、正しい判断をしていても、不十分な情報しか持っていなければ、ほかの人に自分の考えをうまく伝えることはできません。
そこで、このシリーズでは、テーマとなっている問題について重要な事実を集め、客観的な判断に役立ち、ほかの人にも紹介できるような資料をまとめることを目指しています。
> 聖書的視点の必要性聖書的視点の必要性
今、この世界で起きていることについての情報が、インターネット上では山のようにあります。ただ、誤情報や、偽情報も少なくありません。そのため、何が正しい情報なのかを見極めるのが難しくなっています。
そういう時に道しるべになるのが聖書です。数千年間も読み継がれてきた世界のベストセラーである聖書には、「終末時代」と呼ばれる今と将来の時代に起こることが預言されているためです。聖書預言の確かさは、過去に成就してきたさまざまな預言で証明済みです。
また、過去に成就した聖書預言については、クリスチャンコモンズのサイトの聖書預言に関するページをご覧ください。
冒頭で挙げたような問題について、日本でも多くの論者が貴重な情報を提供してくれています。ただ、クリスチャンでない方がほとんどなので、聖書的視点で全体像をつかむという意味では期待できません。一方、米国では、聖書的信仰を持った牧師や神学者が聖書的視点で現状を分析して情報を発信してくれています。このシリーズでは、そうした人々の見解を参考にしつつ、日本の文脈を踏まえながら情報を発信していきたいと考えています。
また、このような混乱の時代には、カルトなどが人々の不安を利用して誤った教えに導くことがあります。そのため、「聖書は何を語っているか」を明確にし、誤った教えに対抗していきたいと思っています。
聖書のことば
この世界のさまざまな問題を考える上で、指針となる聖書のことばがいくつかあります。
ヨハネ8:32では次のように言われています。
32 あなたがたは真理を知り、真理はあなたがたを自由にします。
ここで言われている「真理」とは、文脈では「キリストのことば」のことですが、一般的な真理も含まれると考えてよいでしょう。人は真理を知らないままだと、偽りに縛られることになります。さまざまな情報源に触れて世界の実情がわかってくると、現実に幻滅して「いっそ知らないままの方がよかった」と思うことがあります。しかし、みことばによると、人は真理を知ることで自由になるのです。
また、箴言22:3では次のように言われています。
3 思慮のある人は、危険を見ると、これを避け、未熟な者は、進んで行って、苦しみに遭う。(現代訳)
世界の状況を見ていると、この先に危険が待ち受けていることを示す兆候がいくつもあります。このみことばは、そうした事実を知らないままだと、回避できる苦しみに陥ってしまう可能性があることを教えてくれます。
クリスチャンに対しては、エペソ5:9で次のようにも言われています。
9 あらゆる善意と正義と真実のうちに、光は実を結ぶのです。
クリスチャンが光の子として実を結ぶには、真実の内を歩む必要があります。善意と正義があっても、真実に立っていなければ的外れな行動を取ってしまう可能性があります。
聖書預言
聖書では、終末時代には欺きがはびこることが預言されています。そのため、霊的な識別力を働かせて真実を見極めないと、偽りに巻き込まれてしまう可能性があります。
「大患難時代」と呼ばれる終末時代の最後の7年間には、反キリストという人物が現れることが預言されています。大患難時代は、地上にあらゆる災厄が降りかかる苦難の時代です。この大患難時代に、反キリストが全世界を支配するというのが聖書の預言です。
この反キリストは、人々を欺くことで世界の支配者となることが預言されています(2テサロニケ2:9~10)。
9 不法の者は、サタンの働きによって到来し、あらゆる力、偽りのしるしと不思議、 10 また、あらゆる悪の欺きをもって、滅びる者たちに臨みます。彼らが滅びるのは、自分を救う真理を愛をもって受け入れなかったからです。
ここで「不法の者」と言われているのが、反キリストです。反キリストの力の源泉は「欺き」です。この欺きに対抗するには、真理を知る必要があります。
ただ、今はまだ大患難時代には入っていません。そのため、反キリストはまだ表舞台に登場していません。それでも、今は大患難時代が近付いている終末時代であることに変わりはありません。そのため、私たちは反キリストが登場するための舞台が整えられつつある時代に生きているということができます。
また、反キリストはまだ登場していませんが、反キリストの精神を持った人々はすでに世に現れています(1ヨハネ2:18)。
18 幼子たち、今は終わりの時です。反キリストが来るとあなたがたが聞いていたとおり、今や多くの反キリストが現れています。それによって、今が終わりの時であると分かります。
「今や多くの反キリストが現れている」というのは、大患難時代に現れる反キリストではなく、反キリストの精神を持った人々のことを指します。英語で言うと、大患難時代に現れる反キリストは大文字の反キリスト(Antichrist)で、反キリストの精神を持って生きている人々は小文字の反キリスト(antichrist)と言うことができます。ナチスドイツのアドルフ・ヒトラーは、小文字の反キリストと言えるでしょう。そのような反キリスト的精神を持った人々は「偽り者」(1ヨハネ2:22)と言われており、反キリストと同様に人々を欺く者です。今の世界を見渡すと、反キリスト的精神を持った小文字の「反キリスト」が影響力を増している時代であることがわかります。
> まとめまとめ
今は混乱の時代です。そのような時代には、真実を知ることが重要になります。
真実を求める際に最も頼りになるのが聖書です。聖書には、数千年間も読者を導き、多くの聖書預言が成就してきたという実績があるためです。
また聖書では、終末時代には欺きがはびこることが預言されています。そのため、真理を求めることが重要になります。
一言
今後、このシリーズの記事に書かれている内容を読むときに、一部の人は「認知的不協和(cognitive dissonance)」を体験するかもしれません。認知的不協和とは、新しい情報に接した時に、自分が今まで信じてきたことや思ってきたこと、価値観と衝突するために不快に感じることを指します。これが原因で「陰謀論」というレッテル貼りにつながることが多いように思います。ただ、一言申しあげたいのは、ここで提示する情報を調べて、ご自分で確かめてほしいということです。物理学者のアルバート・アインシュタインは、次のような言葉を残しています。
調べもせずに非難するのは無知の極みである。
Condemnation without investigation is the height of ignorance.
このシリーズの記事が、今起きている問題の核心をつかみ、今後の見通しを立てる一助になれば幸いです。
> クリスチャン向けの付録:霊的な戦いクリスチャン向けの付録:霊的な戦い
クリスチャンには、いつの時代も霊的な戦いがあると聖書は語っています。
サタンの支配
聖書の一貫した主張は、今の世の中は一般にサタンの支配下にあるということです。2コリント4:4では、次のように言われています。
4 彼らの場合は、この世の神が、信じない者たちの思いを暗くし、神のかたちであるキリストの栄光に関わる福音の光を、輝かせないようにしているのです。
「この世の神」とはサタンのことです。このサタンは、キリストを信じない人々の「思いを暗くする」と言われています。この霊的戦いは、人々の思いや思考の中で行われています。そのため、クリスチャンは人々の思いを神に向ける必要があります。
エペソ2:2では、次のようにも言われています。
2 かつては、それらの罪の中にあってこの世の流れに従い、空中の権威を持つ支配者、すなわち、不従順の子らの中に今も働いている霊に従って歩んでいました。
「空中の権威を持つ支配者」とはサタンのことです。このみことばによると、キリストの福音に従わない人々はサタンに従って歩んでいることになります。またクリスチャンも、この世の流れに従い、サタンに従う生き方をしてしまう可能性があります。クリスチャンが霊的戦いを立派に戦うためには、サタンの欺きに対抗する真理を知る必要があります。
サタンの武器は欺き
サタンの最大の武器は欺きです。ヨハネ8:44では次のように言われています。
44 あなたがたは、悪魔である父から出た者であって、あなたがたの父の欲望を成し遂げたいと思っています。悪魔は初めから人殺しで、真理に立っていません。彼のうちには真理がないからです。悪魔は、偽りを言うとき、自分の本性から話します。なぜなら彼は偽り者、また偽りの父だからです。
また、黙示録12:9でもこう書かれています。
9 こうして、その大きな竜、すなわち、古い蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれる者、全世界を惑わす者が地に投げ落とされた。…
サタンは「全世界を惑わす者」と呼ばれています。サタンとサタンの化身である反キリストの最大の武器は、欺きです。サタンは神のように全知全能ではないので、人々を欺くことで世界を動かすのです。
また、2コリント11:14では次のように言われています。
14 しかし、驚くには及びません。サタンでさえ光の御使いに変装します。
この箇所を読むと、世間が評価する人が正しいわけではないことがわかります。正しい判断を下すには、人がどう言っているかよりも、聖書がどう語っているかを基準にする必要があります。
霊的な戦いに関する箇所
パウロは、クリスチャンの霊的戦いについて次のように語っています(エペソ6:11~18)。
11 悪魔の策略に対して堅く立つことができるように、神のすべての武具を身に着けなさい。
12 私たちの格闘は血肉に対するものではなく、支配、力、この暗闇の世界の支配者たち、また天上にいるもろもろの悪霊に対するものです。
13 ですから、邪悪な日に際して対抗できるように、また、一切を成し遂げて堅く立つことができるように、神のすべての武具を取りなさい。
14 そして、堅く立ちなさい。腰には真理の帯を締め、胸には正義の胸当てを着け、 15 足には平和の福音の備えをはきなさい。
16 これらすべての上に、信仰の盾を取りなさい。それによって、悪い者が放つ火矢をすべて消すことができます。
17 救いのかぶとをかぶり、御霊の剣、すなわち神のことばを取りなさい。
18 あらゆる祈りと願いによって、どんなときにも御霊によって祈りなさい。そのために、目を覚ましていて、すべての聖徒のために、忍耐の限りを尽くして祈りなさい。
霊的戦いで、クリスチャンは「神のすべての武具」を取る必要があります。その時、最初に「真理の帯を締める」と言われているのは偶然ではありません。真理に立つことが、霊的戦いの基本だからです。また、みことばの真理に立つのと同時に、正しい認識で現実世界を見ることも重要です。
ローマ13:11では、次のように言われています。
11 さらにあなたがたは、今がどのような時であるか知っています。あなたがたが眠りからさめるべき時刻が、もう来ているのです。私たちが信じたときよりも、今は救いがもっと私たちに近づいているのですから。
ここでいう「救い」とは携挙であずかる栄化のことです。二千年前にパウロがこう語っていたのであれば、今の時代に生きる私たちにはさらに真実味を持って迫ってきます。
1テサロニケ5:2~6では、次のように言われています。
2 主の日は、盗人が夜やって来るように来ることを、あなたがた自身よく知っているからです。
3 人々が「平和だ、安全だ」と言っているとき、妊婦に産みの苦しみが臨むように、突然の破滅が彼らを襲います。それを逃れることは決してできません。
4 しかし、兄弟たち。あなたがたは暗闇の中にいないので、その日が盗人のようにあなたがたを襲うことはありません。
5 あなたがたはみな、光の子ども、昼の子どもなのです。私たちは夜の者、闇の者ではありません。
6 ですから、ほかの者たちのように眠っていないで、目を覚まし、身を慎んでいましょう。
「主の日」とは、大患難時代のことです。大患難時代は、盗人が夜やって来るように訪れると言われています。そのため、人々は大患難時代がいつ訪れるかわかりません。しかし、クリスチャンは足のともしびである聖書が与えられていているので(詩篇119:105)、一般の人と同じではありません。一般の人は気付いていなくても、「時のしるし」が聖書で与えられているので(マタイ24章など)、クリスチャンには今自分がどのような時代に生きているかがわかります。ただ、今世界で起きていることを知らなければ、「時のしるし」を見極めることができません。そのため、このシリーズでは「時のしるし」に関連する情報を提供していく予定です。