聖書は、この世界にはいつか終わりが来ると告げています。
また、聖書には、世界が終わる前の「終末時代」と呼ばれる時代に、どのようなことが起こるかを告げた預言も記されています。
今回は、そのような終末時代について預言した「終末預言」をできるだけ網羅し、終末時代がどのような時代になるかが一目瞭然にわかるロードマップを示したいと思います。このロードマップは、今後公開する預言に関する記事の目次のような役割も果たすことになります。
> 終末時代とは終末時代とは
世界が終わる時が直前に迫っている時代のことを「終末時代」と呼びます。そして、聖書によれば、今はすでに終末時代に入っています。厳密に言うと、聖書で言う「終わりの時」はキリストの初臨ですでに始まっていますので(1ペテロ1:20、1ヨハネ2:18)、現在は「終わりの時代の最後の時代」と言うこともできます。このサイトでは、それを「終末時代」と呼ぶことにします。この時代のことは、イエスがマタイ24:3~8で次のように語っています。
3 イエスがオリーブ山で座っておられると、弟子たちがひそかにみもとに来て言った。「お話しください。いつ、そのようなことが起こるのですか。あなたが来られ、世が終わる時のしるしは、どのようなものですか。」 4 そこでイエスは彼らに答えられた。「人に惑わされないように気をつけなさい。 5 わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『私こそキリストだ』と言って、多くの人を惑わします。 6 また、戦争や戦争のうわさを聞くことになりますが、気をつけて、うろたえないようにしなさい。そういうことは必ず起こりますが、まだ終わりではありません。 7 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、あちこちで飢饉と地震が起こります。 8 しかし、これらはすべて産みの苦しみの始まりなのです。
弟子たちに「世が終わる時のしるし」を問われたイエスは、「民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がる」ことが「産みの苦しみの始まり」、つまり、今の世が終わり、千年王国(旧約聖書で約束されていた御国)が到来する直前の時代に入ったしるしであると語っています。ここで言われている「民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がる」とは、ラビの用語で「世界戦争」を指しています。つまり、第一次、第二次世界大戦を経験した現在の世界は、イエスが言う「産みの苦しみの始まり」に入った時代であり、終末時代に入っていることになります。
> 終末時代の特徴終末時代の特徴
終末時代の特徴については、聖書では以下のように語られています。
- 「偽預言者が大勢現れて、多くの人を惑わします」(マタイ24:11)
- 「人々が健全な教えに耳を貸そうとせず、自分につごうの良いことを言ってもらうために、気ままな願いをもって、次々に教師たちを自分たちのために寄せ集め、真理から耳をそむけ、空想話にそれて行くような時代になる」(2テモテ4:3~4)
- 「どんな手段によっても、だれにもだまされてはいけません。まず背教が起こり、不法の者、すなわち滅びの子が現れなければ、主の日は来ないのです」(2テサロニケ2:3)
- 「まず第一に、心得ておきなさい。終わりの時に、嘲る者たちが現れて嘲り、自分たちの欲望に従いながら、 こう言います。『彼の来臨の約束はどこにあるのか。父たちが眠りについた後も、すべてが創造のはじめからのままではないか』」(2ペテロ3:3~4)
本サイトで解説している「繁栄の神学」や「新使徒運動」などを見ると、聖書が語る終末時代の描写に一致していると言えます。
> すでに成就した終末預言すでに成就した終末預言
終末預言の一部はすでに成就しています。このことから、将来に預言されていることも文字どおりに成就することがわかります。
- 世界大戦(マタイ24:3~8、マルコ13:8、ルカ21:10)
- 第一次世界大戦(1914~1918年)
- 第二次世界大戦(1939年~1945年)
- イスラエル国家の再建(エゼキエル20:33~38、エゼキエル22:17~22、エゼキエル36:22~24、イザヤ11:11~12、ゼパニヤ2:1~2)
- イスラエル独立戦争(1948年)
- エルサレムがユダヤ人の支配下に入る(ダニエル9:27、マタイ24:15、2テサロニケ2:3~4、黙示録11:1~2)
- 第三次中東戦争(1967年)
> 現在進行中の終末預言現在進行中の終末預言
イエスは、以下の現象も終末時代のしるしとして語っています。以下は1回きりの出来事ではなく、終末時代という期間全体にわたって、あるいは同期間に断続的に観察される現象と考えることができます。
- 各地で地震が起こる(マタイ24:7、マルコ13:8)
- 各地で飢饉が起こる(マタイ24:7、マルコ13:8)
- 各地で疫病が起こる(ルカ21:11)
> 将来に成就する終末預言将来に成就する終末預言
将来に関する預言は、「大患難時代」を基準に次のように区分することができます。大患難時代とは、地上に大きな患難がある7年間のことを指します。さらに、大患難時代は前半、中期、後半に区分されるので、将来に関する預言は次のように区分できます。
- 大患難時代の前に成就する預言
- 大患難時代に成就する預言
- 大患難時代前半の預言
- 大患難時代中期の預言
- 大患難時代後期の預言
この区分に従って、聖書に預言されている終末預言を以下にアウトライン形式で示します。
大患難時代の前に成就する預言
次の出来事は数字の順に起こります。
- ゴグとマゴグの戦い(エゼキエル戦争)が起こる(エゼキエル38:1~39:16)
- 世界政府が樹立される(ダニエル7:23、ヨエル3:2、黙示録13:7~8)
- 世界が10の王国に分割される(ダニエル7:24)
- 反キリストが台頭する(ダニエル8:23~25、ダニエル11:36~39)
- 偽りの平和と安全がもたらされる(1テサロニケ5:1~3)
- 反キリストとイスラエルが7年間の契約を結ぶ(ダニエル9:24~27)
以下の出来事が起こる順序は不明ですが、大患難時代が来る前に成就するといわれているものです。
- 全地が暗くなる(ヨエル2:31、参照:出エジプト10:21~23、マタイ27:45)
- 預言者エリヤの再来(マラキ4:5~6、参照:マタイ11:11~14、マタイ17:9~13、ルカ1:13~17)
- 第三神殿の建設(ダニエル9:27、マタイ24:15、2テサロニケ2:3~4、黙示録11:1~2)
- 大患難時代の中間期に入る前に完成する
- 携挙(ヨハネ14:1~3、1テサロニケ4:13~18、1コリント15:50~58)
- 教会の背教(2テサロニケ2:1~3、1テモテ4:1)
大患難時代に成就する預言
大患難時代は前半、中期、後半の3つに区分されます。
大患難時代の前半(3年半)
次の出来事は数字の順に起こります。
- 反キリストによる世界征服の開始(黙示録6:1~2)
- 大患難時代最初の世界戦争(黙示録6:3~4)
- 世界的な飢饉(黙示録6:5~6)
- 地上に住む人々の4分の1が剣、飢饉、死病、地の獣によって死滅(黙示録6:7~8)
- 携挙後の聖徒の迫害と殉教(黙示録6:9~11)
- 地震、太陽と月の異変、隕石の落下などの天変地異(黙示録6:12~17)
- 地上の3分の1が焼失(黙示録8:7)
- 海の3分の1が血のようになり、海洋生物の3分の1が死滅(黙示録8:8~9)
- 川の3分の1が汚染されて多くの人が死ぬ(黙示録8:10~11)
- 太陽の3分の1、月の3分の1、星の3分の1が光を失う(黙示録8:12)
- 太陽と空が暗くなる(黙示録9:2)
- 悪霊による苦痛が人々を苦しめる(黙示録9:3~11)
- 悪霊によって3分の1の人々が死滅(黙示録9:14~21、ヨエル1:15~2:11)
以下は、この期間全体で起こると預言されている出来事です(順不同)。
- ユダヤ人による世界宣教(黙示録7:1~8)
- 世界大のリバイバル(黙示録7:9~17)
- 反ユダヤ主義が世界中に広がる(マタイ24:9~14)
- エルサレムで二人の預言者が預言する(黙11:3~6、ゼカリヤ4:11~14)
- 世界統一宗教の成立(黙示録17:1~6)
- バビロンに反キリストの国の首都が建設される(ゼカリヤ5:5~11)
- ユダヤ民族全体のイスラエルへの帰還(イザヤ11:11~12:6、イザヤ27:12~13)
大患難時代の中間期
大患難時代の中間期には以下のことが起こると預言されていますが、順序は不明です。
- 患難期に入って2回目の世界戦争(ダニエル11:40~45)
- 反キリストが殺害される(ダニエル11:45後半)
- サタンが地上に落とされる(黙示録12:7~12)
- 反キリストが復活する(黙示録13:3)
- 10人の王のうち、3人が倒れる(ダニエル7:24)
- 世界統一宗教が廃止される(黙示録17:16)
- エルサレムの二人の預言者が死ぬが、3日後に復活して天に昇る(黙11:7~13)
- 反キリストの支配する統一国家が完成する(黙示録17:17)
- バビロンが世界の首都となる
- 世界が反キリストを礼拝するようになる(黙示録13:3~10)
- 偽預言者が登場して反キリストを礼拝させる(黙示録13:11~15)
- 人々が獣の印(666)を受ける(黙13:16~18)
- 7年間の契約が破られる(イザヤ28:18)
- 反キリストがイスラエルに侵略する(ダニエル11:40~41、黙示録11:1~2)
- 反キリストがエルサレムの神殿で神性宣言をする(2テサロニケ2:3~4、参照:ダニエル9:27、マタイ24:15)
- ユダヤ人に対する大迫害が始まる(マタイ24:15~28)
大患難時代の後半(3年半)
次の出来事は数字の順に起こります。
- 反キリストを礼拝する人々に悪性の腫れ物ができる(黙示録16:2)
- 海が赤く染まり、海中の生き物が死滅する(黙示録16:3)
- 川と水が湧く水源が汚染される(黙示録16:4~7)
- 太陽の炎熱で地上の人々が焼かれる(黙示録16:8~9)
- 反キリストの国が闇に覆われる(黙示録16:10~11)
- ユーフラテス川が涸れる(黙示録16:12)
- イスラエルのメギドの丘にすべての国の軍隊が反キリスト軍として集結する(黙示録16:16、ヨエル3:9~12、詩篇2:1~6)
- 大地震が起きる(黙示録16:18)
- 反キリストの首都バビロンが破壊される(イザヤ13:1~14:23、エレミヤ50~51章、黙示録18:1~24)
- エルサレムが反キリストの軍の手に落ちる(ゼカリヤ12:1~3、ゼカリヤ14:1~2)
- 反キリストの軍がペトラのユダヤ人を包囲する(エレミヤ49:13~14、ミカ2:12)
- ユダヤ人が民族的救いを経験する(詩篇79:1~13、80:1~19、ホセア6:1~3、ゼカリヤ12:10~13:9、ヨエル2:28~32、ローマ11:25~27)
- キリストが再臨する(イザヤ34:1~7、63:1~6、ミカ2:12~13、マタイ16:27、24:30、使徒1:11、ユダ14~15、黙示録19:1~21、エゼキエル39:25~29、ハバクク3:1~19、詩篇18:8~16)
- キリストが反キリストの軍をさばく(ヨエル3:12~13、2テサロニケ2:8、イザヤ14:16~21、ゼカリヤ14:12~15、黙示録14:19~20)
以下は、この期間全体で起こると預言されている出来事です(順不同)。
- 偽預言者が多くのしるしと不思議を行って反キリストを礼拝させる(ダニエル12:11、黙示録13:11~15)
- ユダヤ人に対する大迫害(マタイ24:15~28、黙示録12:1~17)
> 終わりに終わりに
今後は、ここで示したロードマップの各預言を解説する記事や、各預言の成就に関連する記事を公開していきます。
このロードマップを眺めると、未来は決して明るくはありませんが、希望がないわけではありません。この希望についても今後の記事で取り上げていきたいと思います。
追記
埼玉東鷲宮聖書フォーラム代表の溝口おさむ氏が、このページの内容をチャートにして送ってくださいました。終末預言が2枚のA4用紙にまとめられ、終末預言を一目で確認できるので便利です。チャートはこちらでダウンロードしていただけます。
> 参考資料参考資料
- Anrold G. Fruchtenbaum, The Footsteps of the Messiah (Ariel Ministries, 2003)