イスラエルのニュースメディア『Israel 365 News』が、「イスラエルの独立記念日にユダヤ人が第三神殿の建設を開始」という見出しで、エルサレムに神殿を建てる計画が着実に進んでいることを報じている。記事は次のような書き出しで始まっている。
独立記念日を祝って家族でバーベキューをするイスラエル人が多い中で、エルサレムの旧市街に集まり、預言されている第三神殿を建てるために石を削り始めた小さなグループがある。
ー Adam Eliyahu Berkowitz, “Jews begin building Third Temple on Israel Independence Day,” Israel 365 News, 6 May 2022
While most Israelis were celebrating Independence Day by having family barbecues, a small group gathered in the Old City of Jerusalem and began chipping away at stones, preparing them to be used to build the prophesied Third Temple.
このグループを指導したのは、アリエ・リポ(Aryeh Lipo)というユダヤ教のラビである。リポは、「神殿の建設はユダヤ人が従うべき命令だ」として、次のように語っている。
私たちには、神殿を建てるというミツバ(律法の命令)があります。このミツバは無条件で、時間制限もありません。私たちはいつもこの命令を受けているのです。そのため、この命令の実行に積極的に取り組んでいない現状は残念なことです。現在、神殿の丘で神殿建設を始めることは政治的に複雑なことですが、だからといってこのミツバを免除されるわけではありません。
ー Adam Eliyahu Berkowitz, “Jews begin building Third Temple on Israel Independence Day,” Israel 365 News, 6 May 2022
“We have a mitzvah (Torah commandment) to build the Temple. This mitzvah is not conditional or time-bound. We have this requirement at all times. So it is a pity that we are not actively engaged in it. Right now, it is politically complicated for us to begin building on the Temple Mount but that does not exempt us from this mitzvah.”
しかし、リポは、神殿の丘に神殿を建て始めることができないからといって、このミツバを実行できないわけではないことに気付いた。神殿の建設に使う石を準備することで、このミツバを実行できるからだ。聖書によると、神殿に使用する石は、切り出して完全に形を整えてから神殿建設の現場に運ぶことになっている。旧約聖書の1列王記6:7には、ソロモンが最初に神殿を建設した時の様子が次のように記されている。
神殿が建てられたとき、石切り場で完全に仕上げられた石で建てられたので、工事中、槌や斧や、いかなる鉄の道具の音も、いっさい神殿の中では聞こえなかった。
この聖句通りにするなら、いずれにせよ神殿の丘では鉄の道具を使うことができない。そのため、神殿の外で石を完成させる作業をまず始める必要がある。
神殿に使用する石は、ユダヤ・サマリヤ地方のエイシュ・コデシュという地域から切り出され、エルサレム旧市街にあるフルバ・シナゴーグの近くに運ばれてくる。そこで道具を使って石を削って仕上げるのである。そして、この作業に参加できるイベントを独立記念日に開催したというわけだ。
リポは、今後もこのようなイベントをさらに行い、第三神殿の建設に使う石を準備していきたいと語っている。
写真:Benjamin(ライセンス:CC BY-NC-ND 2.0)