『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者、ロバート・キヨサキが米国のデジタルドル導入に警戒を呼びかけ

ロバート・キヨサキのツイート

『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者として知られる投資家のロバート・キヨサキが、米国で「デジタルドル」が導入される可能性があるとして、Twitterで警戒を呼びかけている。これはバイデン大統領が署名した「大統領令14067」に対する警告で、この大統領令では「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」導入の検討を進めるよう指示されている。キヨサキは、2022年7月18日付けのツイートで、この大統領令を「米国史上で最大の背信行為」、CBDCの創設を「最も純粋な形の共産主義」と呼び、次のように語っている。

ジム・リッカーズは今日、最も重要な発表を行った。米国史上で最大の背信行為であるバイデンの「大統領令14067」に関するものだ。これは最も純粋な形の共産主義であるCBDC(中央銀行デジタル通貨)の創設である。目を覚まして、リッカーズの語る言葉に耳を傾けよう。バイデンには耳を貸さないように。気を付けて。

Jim Rickards made his most important announcement today. It’s about the most treasonous act in U.S. history, Biden’s Executive Order 14067. It’s communism in its purest form, the creation of CBDC Central Bank Digital Currency. Stay awake. Tune in to Rickards. Tune out Biden. Take care.

このツイートに出てくるジム・リッカーズは、中央銀行デジタル通貨の動向を長年追いかけてきた米国の法律家、投資家で、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー作家でもある。ジム・リッカーズは、世界各地でデジタル通貨の導入が急速に広まっているとして、次のように語っている。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、多くの人の予想よりも速いペースで実現している。中国ではデジタル人民元がすでに実現し、昨年2月の冬季オリンピック期間中に導入された。
オリンピックの来場者は、食事やホテル、交通機関などの支払いを、人民元のデジタル口座にリンクされた携帯電話を使って、QRコードで支払うよう求められた。ほかにも9か国がすでにCBDCを立ち上げている。欧州も遅れをとっておらず、欧州中央銀行の支援の下で、デジタルユーロのテストを行っている。
米国は遅れをとっていたが、急速に追いついてきている状況だ。
ー James Rickards, “Welcome to 1984,” Daily Reckoning, 27 June 2022

… central bank digital currencies (CBDCs) are coming even faster than many anticipated. The digital yuan is already here; it was introduced in China last February during the Winter Olympics.
Visitors to the Olympics were required to pay for meals, hotels, transportation, etc., using QR codes on their mobile phones that linked to digital yuan accounts. Nine other countries have already launched CBDCs. Europe is not far behind and is testing the digital euro under the auspices of the European Central Bank.
The U.S. was lagging, but is catching up fast.

この「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」とは、デジタル版の各国通貨(ドルや円)であり、ビットコインなどの暗号通貨とは異なる。ブロックチェーンを使って分散管理される暗号通貨とは違い、CDBCは、日本銀行や米国連邦準備銀行などの中央銀行や財務省が管理する台帳に記録され、中央銀行が一元管理する。CBDCは、中央銀行が台帳を管理しているので、デジタル通貨を使用するのに市中銀行の銀行口座は必要ない。携帯電話などのデバイスがあれば、クレジットカードがなくても電子決済できる。

このような便利なデジタル通貨が持つ危険性について、リッカーズは次のように語っている。

(暗号通貨との)もう一つの大きな違いは、あなたのお金を政府が管理し、あなたを常に監視下に置くことができるようになることだ。CBDCの世界では、政府はあなたが購入したもの、あなたが行った取引、購入場所まですべて知ることになる。
マイナス金利、口座凍結、口座からの源泉徴収、さらには間違った候補者に投票したり、間違った政党に寄付をしてFBIの捜査対象になるのは、そう遠い将来のことではない。
大げさに聞こえるかもしれないが、そうではない。
中国はすでにCBDCを利用して、反体制派の渡航や教育の機会を奪っている。カナダは昨年の冬、政府に対する非暴力的な抗議に参加するトラック運転手の銀行口座と暗号通貨口座を差し押さえている。
ー James Rickards, “Welcome to 1984,” Daily Reckoning, 27 June 2022

The other big difference is that it will give the government control of your money and the ability to put you under constant surveillance. In a world of CBDCs, the government will know every purchase you make, every transaction you conduct and even your physical whereabouts at the point of purchase.
It’s a short step from there to negative interest rates, account freezes, tax withholding from your account and even putting you under FBI investigation if you vote for the wrong candidate or give donations to the wrong political party.
If that sounds like a stretch, it’s not.
China is already using its CBDC to deny travel and educational opportunities to political dissidents. Canada seized the bank accounts and crypto accounts of nonviolent trucker protesters last winter.

冒頭のツイートでキヨサキがCBDCを「最も純粋な形の共産主義(communism in its purest form)」と呼んでいたのは、このような背景がある。中国共産党によるデジタル元の導入が早かったのは、ドルに代わる準備通貨にすることを狙ってそうしたというよりも、国民を監視、支配するツールとして利用できるためだとリッカーズは語っている。共産党が定義する「誤った言動」を行う個人に対し、デジタル元の使用を制限することができるためだ。CBDCには、脱税や資金洗浄を防ぐといった利点もあるが、政府が悪用すれば、独裁国家を作り、維持するための強力な武器にもなる。

このような現状は、聖書の黙示録が預言する状況と似てきている。聖書では、黙示録の時代には「その刻印(反キリストの刻印)を持っている者以外は、だれも物を売り買いできない」(黙示録13:17)ようになると預言されている(記事「終末預言を読み解く:完全監視社会」参照)。

CBDCの導入は、世界的な潮流になりつつある。日本政府も、「現時点において、そうしたデジタル通貨を発行する計画はありません」としながらも、「調査研究や実証実験などの取り組みを行っています」と語っている1。米国でデジタルドルが導入されたら、いずれ日本も追随することになるだろう。CBDCの導入については、今後注視していく必要がある。

MEMO
関連預言:完全監視社会

参考資料

  1. 日本銀行「中央銀行デジタル通貨とは何ですか?」(https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/money/c28.htm/)

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