イーロン・マスクが「世界政府サミット」で世界統一政府に対する警戒感を示す

世界政府サミット

「世界統一政府の樹立に向けて世界が動いている」と言うと、多くの人は「陰謀論」と言うかもしれない。しかし、2022年度のフォーブス世界長者番付1位のビジネスリーダーが、世界統一政府を目指す動きが現実にあり、それを推進する人々に警告を発したとすれば、「陰謀論」の一言で片付けることはできない。

そのような出来事が、今年の2月13日~15日にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された「世界政府サミット」で起こった。

世界政府サミットとは

世界政府サミットは、ドバイで2013年から毎年開催されている国際的なイベントで、「政府のリーダーたちが一堂に会し、未来志向や技術革新などの問題を中心に、政府のプロセスや政策についてグローバルな対話を行う」ための場と言われている(WikiPedia)。

このサミットには、世界各国の大統領、大臣、官僚、国際機関のトップ、ビジネスリーダー、思想家、専門家などが参加する。2023年の主要な参加者は次のとおりである。

  • 各国首脳
    • エジプトのシーシ大統領
    • トルコのエルドアン大統領
    • その他20か国の大統領
  • 政府関係者
    • 250人以上の政府閣僚
    • 1万人の政府高官
  • 国際機関
    • 国連のグテレス事務総長
    • 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長
    • 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエヴァ専務理事
    • 世界銀行のマルパス総裁
    • 世界貿易機関(WTO)のイウェアラ事務局長
    • 世界経済フォーラム(WEF)のシュワブ会長
  • 日本:楽天の三木谷浩史CEO

今回の世界政府サミットでは、電気自動車メーカーのテスラ社とSNSのツイッター社のCEOであるイーロン・マスクがスピーチを行った。このイーロン・マスクのスピーチが、冒頭に触れたビジネスリーダーの発言だ。

イーロン・マスクの演説

サミット会場のスクリーンに映し出されたイーロン・マスクは、ビデオ通話でスピーチを行い、次のように語っている。

この場が「世界政府サミット」と呼ばれているのは知っていますが、実際に世界統一政府になることにはもう少し警戒が必要だと思います。率直に言うと、これは少し奇妙に聞こえるかもしれませんが、政府間の協力が進みすぎることで生じる文明的なリスクを避けたいのです。

I know this is called the ‘World Government Summit,’ but I think we should be a little bit concerned about actually becoming too much of a single world government. If I may say, we want to avoid creating a civilizational risk by having — frankly, this might sound a little odd — too much cooperation between governments.

マスクは「世界政府サミット」に集まった人々に対して、この世界が「世界統一政府(single world government)」に近付いていくことに警戒すべきだと語っている。マスクは6年前にも同サミットに参加しており、このイベントの意図を十分理解した上での発言だ。そもそも、「世界政府サミット」という名称からわかるように、主催者は世界政府を目指していることを隠そうともしていない。「世界統一政府の樹立に向けて世界が動いている」ことは陰謀論ではない。このことは、イーロン・マスクの発言からもわかるが、聖書で預言されていることでもある。

MEMO
世界統一政府の樹立に関する預言については、「世界統一政府」を参照のこと。

さらにマスクは、「政府間の協力が進みすぎることで生じる文明的なリスク」について、ローマ帝国の滅亡を例に挙げてこう語っている。

ローマが没落する一方でイスラムが勃興しました。ローマがひどいことになっている間に(イスラムの)カリフ制がうまくいっていました。それは結局、知識の保全と多くの科学的進歩の源となったのです。だから、一つの文明になり過ぎることには、少し気をつける必要があると思います。文明が一つになり過ぎると、全体が崩壊する可能性があるのです。…少し奇妙に聞こえるかもしれませんが、ある程度、文明の多様性を確保したいのです。文明の一部に何か問題が発生しても、全体が崩壊せずに、人類が前進し続けられるようにするためです。

While Rome was falling, Islam was rising, so you had a caliphate doing well while Rome was doing terribly. And that ended up being a source of preservation of knowledge and many scientific advancements. So I think we need to be a little conscious of being too much of a single civilization because if we are too much of a single civilization, then the whole thing may collapse… It sounds a little odd, but we want to have some amount of civilizational diversity so that if something does go wrong with some part of civilization then the whole thing doesn’t just collapse and humanity keeps moving forward.

マスクは、世界に複数の文明があれば、一つの文明が滅びても別の文明がそれに代わるまでだが、世界が一つの文明だと、全体が滅びる可能性があると語っている。つまり、世界が統一されて一つの文明になった場合、その文明が最後の文明になる可能性があるということだ。

このマスクの発言は、聖書の預言とも一致している。聖書では、終末時代には世界統一政府が樹立され、その後に世の終わりが来ると預言されている(「終末預言を読み解く:世界統一政府」参照)。

世界政府サミットのマスクの発言から、世界を一つにしようとするグローバリストと、各国の主権を守ろうとするナショナリストが水面下で綱引きをしている現在の状況が透けて見える。この構図は、マスコミの報道だけを見ているとわからない。米国のトランプ現象は、進みすぎたグローバリズムに対するナショナリストの押し返しという性格が強いが、マスコミの報道では矮小化されて現実の姿が見えてこない。マスコミは、基本的にグローバリズムを推進する側に立っているためだ。しかし、イーロン・マスクがグローバリズムの最終形態である世界政府に対して否定的であるように、聖書も世界政府に対しては否定的である。この点を特にクリスチャンは押さえておいた方がよいと思う。

聖書はグローバリズムについて何と語っているか

聖書では、世界統一政府の出現が預言されている。旧約聖書のダニエル7:23では、次のように言われている。

23  彼はこう言った。『第四の獣は地に起こる第四の国。これは、ほかのすべての国と異なり、全土を食い尽くし、これを踏みつけ、かみ砕く。

この預言は、終末預言の一つで、キリストが地上で神の国(千年王国)を樹立する前に、全地(「全土」)は一つの政府(「第四の国」)が統治すると語っている。「全土を食い尽くし、これを踏みつけ、かみ砕く」と言われているように、この政府による支配が非情で残酷なものになることも預言されている。この政府は、反キリストと呼ばれる神とキリストに敵対する人物が支配するとも預言されており、聖書は決してこの政府を肯定的に描いていない。つまり、世界統一政府の時代は暗黒の時代であり、グローバリズムが拡大する現在は、この時代に向かっている時代である。しかし、そのような時代でも、キリストによる救いは人類に差し出されている(「聖書が語る「救い」とは」参照)。

聖書がグローバリズムについて何と語っているかについては、次の記事で解説したい。

参考資料

1 COMMENT

聖書は「グローバリズム」について何を語っているか - 聖書ニュース.com

[…] 世界統一政府に向かって世界が動いているというのは、多くの人によってはおとぎ話かもしれない。しかし、その方向に確実に向かっていることを示すさまざまな兆候がある(世界統一政府の関連記事を参照)。実際に、2月13日~15日にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された「世界政府サミット」では、イーロン・マスクがサミットに集まった人々に対し、この世界が「世界統一政府(single world government)」に近付いていくことには警戒をすべきだと語っている。この発言は当然、実際にそのような動きがあることを前提にしたものである。そして、「文明が一つになり過ぎると、全体が崩壊する可能性があるのです」と語っている。 […]

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です