マクロン大統領が世界統一秩序の必要性を訴える

マクロン大統領

タイのバンコクで開催されていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が、11月19日に閉幕した。この会議でフランスのマクロン大統領が「われわれは世界統一秩序を必要としている」とスピーチし、反響を呼んでいる。

マクロン大統領の発言

マクロン大統領は、APECに参加した各国首脳を前に次のように語っている。

私たちはジャングルの中にいます。そして、2頭の大きな象がいるのですが、次第に神経質になりつつあります。もし、この2頭が非常に神経質になり、戦争を始めたら、ジャングルの残りの住民にとって大きな問題となります。トラやサルなど、多くの動物の協力が必要になります。…あなたは米国側か、それとも中国側かということになります。なぜなら、現在、多くの人々が、この世界に2つの秩序が形成されることを望むようになってきているからです。これは大きな間違いでり、それは米国と中国にとっても同じです。私たちは世界統一秩序を必要としているのです。
― “Macron calls for ‘a single global order’ to combat China,” news.com.au

We are in a jungle. And we have two big elephants, trying to become more and more nervous. If they become very nervous and start a war, it will be a big problem for the rest of the jungle. You need a cooperation of a lot of other animals, tigers, monkeys, and so on… Are you on the U.S or the Chinese side? Because now, progressively, a lot of people would like to see there are two orders in this world. This is a huge mistake, even for both the US and China. We need a single Global Order.

マクロン大統領は、米国と中国が対立して世界が二極化しつつあることを指摘し、「世界統一秩序」の必要性を訴えている。世界統一秩序には、当然ながら秩序を構築して維持する政府が必要となる。つまり、マクロンの主張は世界統一政府への志向である。記事「時のしるしを見分ける:世界統一政府への動き」で指摘したように、ロックフェラー財団のデイビッド・ロックフェラーなど、民間人が公の場で同様の発言をすることはあった。しかし、主要国の首脳が、APECという大きな国際的舞台で公に世界統一政府の必要性を訴えることはめずらしい。世界統一政府というと陰謀論と片づけられることが多いが、このマクロンのスピーチのように、実際の発言を拾っていけば十分な根拠があることがわかる。この点も、上述の記事をお読みいただければご理解いただけるはずだ。しかも、聖書は、終わりの時代に世界統一政府が樹立されることを預言している。この預言については、記事「終末預言を読み解く:世界統一政府」を参照されたい。

MEMO
聖書の預言では、世界統一政府を支配するのは反キリストと呼ばれる人物である。このようなマクロンの発言を受けて、キリスト教界ではマクロンが反キリストではないかという話も出ている。しかし、反キリストはローマ人の末裔であるので、イギリスから渡ってきたフランス人の家系であるマクロンは反キリストではない。

世界が向かう方向

聖書預言によると、世界統一政府は「樹立されるかされないか」という問題ではなく、「いつ樹立されるか」という問題である。そのため、世界は世界統一政府に向けて着々と進んでいく。マクロンの発言にある通り、現在のような米中対立がエスカレーションすると核戦争になる危険性もあるため、平和を保つという目的で世界統一政府を求めるようになることは自然な流れでもある。この点も、「時のしるしを見分ける:世界統一政府への動き」で指摘したとおりである。

今後の世界は、グローバリズムとナショナリズムの対決を軸にして展開していくと予想される。いや、2016年の米大統領選挙で、ナショナリズムを代表するドナルド・トランプと、グローバリズムを代表するヒラリー・クリントンが戦ったことでもわかるように、世界はすでにこの対決軸で動いている。ヒラリー・クリントンは、2013年にブラジルの銀行で開催された私的な会合で、「開かれた国境」を主張して次のように語っている。

私の夢は、地球の半球を共通市場とし、開かれた貿易と開かれた国境で、そしていつの日か可能な限りグリーンで持続可能なエネルギーを得て、この半球に住むすべての人のための成長と機会の力とすることです。
ー Katie McHugh, “Fact-Check: Yes, Hillary Clinton Wants Open Borders,” Breitbart, 19 Oct 2016

‘My dream is a hemispheric common market, with open trade and open borders, some time in the future with energy that is as green and sustainable as we can get it, powering growth and opportunity for every person in the hemisphere.’

グローバリストの主張は、国境をなくし、国家の主権を国連などの超国家的組織に委譲していくことである。これは陰謀論ではなく、すでに欧州連合(EU)がヨーロッパで実践していることである。EUでは、各加盟国が主権をEUに委譲して統一議会(欧州議会)、統一政府(欧州委員会)、統一通貨(ユーロ)を作り、加盟国間の人の移動(移住)を自由にした。このような地域統合を世界各地で進め、世界全体でEUのようなことを実現することが世界統一政府構想であり、ヘンリー・キッシンジャーやズビグニュー・ブレジンスキーなど、様々な有力者がすでに提唱していることである(記事「時のしるしを見分ける:世界統一政府への動き」の「世界統一政府のひな型としての欧州連合(EU)」を参照)。

一方、ドナルド・トランプは「Make America Great Again(MAGA)」(米国を再び偉大な国にする)というナショナリズムに訴えかけるスローガンを掲げ、大統領選に勝利した。トランプ大統領を支持したのは愛国的な国民だが、見逃してはならないのは、その中でも福音派クリスチャンが岩盤支持層となったことである。日本から見るとトランプ現象は偏狭な国粋主義に見えるかもしれない。しかし、トランプを支持する福音派クリスチャンには、グローバリズムの先には全体主義的な世界統一政府があるという理解がある。そのため、米国憲法が保証する自由を守るために、トランプを支持するという図式になっているのである。

ただ、聖書の預言によると、グローバリズムとナショナリズムの戦いは最終的にグローバリズムが勝利することになる。そうなると、非常に過酷な時代が到来する。しかし、聖書には脱出の道も記されている。この道については、「終末預言を読み解く:携挙とは」や、クリスチャンコモンズのサイトをご覧いただきたい。

参考資料

写真:Jacques Paquier (CC BY 2.0)

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