ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領、イランのライシ大統領が、7月19日にイランのテヘランで首脳会談を行った。テヘランに集まったこの3国は、以下に示したようにいずれも西側諸国の友好国ではない。
- ロシア:ウクライナに侵略戦争をしかけ、ウクライナに協力するヨーロッパ諸国に対して天然ガスの供給を止めるという揺さぶりをかけている。
- イラン:中東全域のテロリストに資金を提供し、核兵器開発計画を推進。過去に米国とイスラエルの滅亡を求めると公言してきた。
- トルコ:米国の反対を押し切ってロシアの防衛システムS-400を採用して軍事的にロシアに接近し、ロシアに対する制裁にも不参加。NATO加盟国ではあるが、近年NATO諸国との足並みが乱れている。
この3国の接近について、ユダヤ系の『Algemeiner』紙は次のように報じている。
プーチンの首脳会談は、中東に対して憂慮すべき影響がある。ロシアと中国の下で反米同盟が形成されつつあるようだが、その中にはイランとイランの手先となっているテロリスト集団も含まれている。この同盟の結果、欧米の制裁にもかかわらず、イランは石油と武器の輸出に成功し、海外からの投資を呼び込むことになるだろう。イランは同盟国の経済ブロックの中で自立し、欧米は核開発やその他の違反行為についてイランに圧力をかけることができなくなる可能性もある。
― Amir Avivi, “The Emerging Unholy Alliance Between Russia, Turkey and Iran,” The Algemeiner, 26 Jul 2022
Putin’s summit has worrying implications for the Middle East. It appears that an anti-American alliance is forming at the behest of Russia and China, and it includes Iran and its terrorist proxies. As a result, Iran could soon find itself comfortably exporting oil and weapons and attracting foreign investments, despite Western sanctions. It might well become self-sufficient within its bloc of allies, leaving the West unable to pressure Iran on its nuclear program and other malfeasance.
> 接近するロシアとトルコ接近するロシアとトルコ
トルコは歴史的にロシアと対立し、いくつかの地域で利害が衝突している。しかし、現在のトルコにはロシアに接近する理由があることをAP通信が伝えている。
トルコは、アゼルバイジャン、リビア、シリアの紛争でロシアと対立しており、ウクライナ軍に殺人ドローンを販売している。しかし、NATO加盟国であるにもかかわらず、トルコはロシア政府に制裁を課しておらず、モスクワにとって重要な潜在的パートナーであり続けている。 制御不能なインフレと急激な通貨安に悩むトルコも(イランと同様に)、ロシアの市場に依存している。
― AP, “What was discussed at the Russia-Turkey-Iran summit? ,” Euronews, 20 Jul 2022
Turkey has found itself on the opposing side to Russia in conflicts in Azerbaijan, Libya and Syria and has even sold lethal drones to Ukrainian forces. But the NATO member has not imposed sanctions on the Kremlin and remains a key potential partner for Moscow.
Grappling with runaway inflation and a rapidly depreciating currency, Turkey also relies on the Russian market.
> 戦略的パートナーの関係を格上げするロシアとイラン戦略的パートナーの関係を格上げするロシアとイラン
ロシアとイランは、同じ西側諸国から制裁を受けている国として、これまで以上に接近している。エジプト紙の『Ahram Online』は、ロシアとイランの関係について次のように報じている。
プーチン大統領の顧問であるウシャコフ氏は、イランを 「ロシアの重要なパートナー」と呼び、月曜日に行われたブリーフィングで次のように語っている。「ハメネイ師と会うことは特に重要だ。……プーチンとハメネイ師の間では、2国間および国際的なアジェンダの中で最も重要な問題について、互いを信頼した対話が積み上げられている」。また、同氏は両国が「戦略的パートナーシップを新しいレベルへと引き上げたいという思い」を共有しているとも語っている。
― Manal Lotfy, “Russia, Turkey, and Iran hold summit,” Ahram Online, 20 Jul 2022
Putin’s adviser Ushakov also called Iran “an important partner for Russia.”
“The contact with Khamenei is very important… A trusting dialogue has developed between them [Putin and Khamenei] on the most important issues on the bilateral and international agenda,” he added in a briefing on Monday, saying that the two countries shared “a desire to take their relations to a new level of strategic partnership.”
ロシア・イラン間の貿易額が過去最高に達し、イランがロシアに最新のドローンを提供することを決定したと報じた『Algemeiner』紙は、この状況を次のように嘆いている。
イランがロシアに高性能ドローンを提供し、トルコを自国の影響圏に取り込もうとするほど大胆になっている今、欧米は、イランの正体と、イランがしようとしていることを見抜かなければならない。それは、イスラム革命の名の下に、この地域を征服することだ。イランの指導者は、このようなことを日常的に語っている。私たちに必要なのは耳を傾けることだけだ。
― Amir Avivi, “The Emerging Unholy Alliance Between Russia, Turkey and Iran,” The Algeminer, 26 Jul 2022
When Iran is emboldened enough to transfer sophisticated UAVs to Russia and attempt to bring Turkey into its orbit, the West must see Iran for what it is and what it is attempting to do: conquer the region in the name of the Islamic revolution. Iranian leaders say this on a daily basis. We need only listen.
ロシア、トルコ、イランの3国は、聖書で預言されている「ゴグとマゴグの戦い(エゼキエル戦争)」の中心となる国々とされている。イスラエルを殲滅すると明言するイランと、イスラエル軍との衝突が懸念されるロシア、エルサレムをイスラム教徒の手に奪還する野望を持つトルコの組み合わせは、エゼキエルが預言した状況に近付いていることを感じさせる。
写真:Sergei Savostyanov, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP